屋根材の種類について

日本でよく使用される屋根材には大きく分けて以下の種類があります。
※各屋根材をクリックすると詳細欄にジャンプします。

粘土・陶器系

粘土を高温で焼き上げた屋根材

瓦 [日本瓦]

スレート系

セメントに繊維素材などと混合した屋根材

カラーベスト
ROOGA(ルーガ)

金属系

金属や合金などでできた屋根材

ガルバリウム
銅・ステンレス

セメント系

セメントと砂などを混合した屋根材

セメント瓦

アスファルト系

ガラス繊維にアスファルトを含ませた屋根材

シングル

屋根瓦
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瓦は世界中で古代から屋根材として用いられ、日本では約1400年前の飛鳥時代から使われておりました。
日本にお住まいであればよく目にするのは本瓦・日本瓦・いぶし瓦・釉薬瓦などと呼ばれる粘土を成形し焼き上げた粘土瓦、他にもセメント瓦や金属瓦、複合樹脂などで作られた瓦も存在しますが本項目では友瓦でも施工を行う粘土・陶器瓦の本瓦・日本瓦などと呼ばれる瓦についてご説明致します。
日本国内でも多く製造されおり日本三大瓦と呼ばれ瓦の名産地としても名高いのは『淡路瓦』『三州瓦』『石州瓦』です。
また、三大瓦以外にも日本各地の風土に適した瓦がその土地で生産されています。

特徴

優れた耐性と重厚で威厳・高級感ある仕上がり
和型のJ型、フランス様式のF型瓦、スペイン様式のS型瓦など洋風な形型の瓦もあり、和風は勿論、西洋風や和洋折衷でモダンな風合いを出す事もできる
歴史に実証された耐久性能。割れ欠けとは別に再塗装などのメンテナンスの必要が無い。

日本の瓦の歴史

翌崇峻天皇元年(西暦588年)に百済という国家から日本へ僧と技術者が派遣されました。その中に4人の瓦博士が日本にやってきたと記されており、
渡来した瓦博士から研修を受け日本で初めて製造した瓦が、蘇我馬子によって推古天皇4年(596年)飛鳥に建立したとされる法興寺(飛鳥寺)という日本で初めて作ったお寺に用いられています。

その日本最古のお寺が養老2年(西暦718年)に平安京にお引っ越しすることになりました。

それが現在の奈良県にある世界文化遺産の『元興寺』です

時は流れ昭和30年代に元興寺の本堂などの解体修理が行われることになったのですが、
そこで驚愕の事実が…
検査の結果なんと屋根に使われていた瓦の一部は法興寺創建時に用いられた1400年以上も経過している瓦だったのです
日本最古の瓦はガラスケースに入れられ厳重な警備の元、保管されている・・・訳では無く、元興寺では今でも普通にその日本最古の瓦が屋根材としてそのまま使われており一般の方でも見る事ができます。

瓦凄いです。瓦博士カッコいいですよね。

豆知識

日本の瓦には大きく分けて釉薬瓦と無釉瓦があり、お皿などでお馴染みの粘土からできた陶器です。
弾性は低く硬い物ですので強い衝撃などを加えると割れれてしまいますが、1400年以上も前の物が現在でも使われている例が在るように非常に耐久性の高い物です。

素焼きの陶器は若干の吸水性がある為、大半の日本瓦には水を弾き素材の劣化を防ぐ皮膜が存在し、『釉薬瓦』では製造時に釉薬を塗布し高温で焼き上げる事で光沢のあるガラス質の保護層を形成し雨風や太陽光に耐える優れた耐久性が生まれます。
殆どの屋根材には塗装が施されており塗料は太陽や風雨などを防ぎ抑え素材を長持ちさせる皮膜として作用するので、塗料によるコーティングが剥がれてきたら再度塗装を行ってあげる必要があるのですが、釉薬瓦やいぶし瓦にはその必要がありません。

一方『いぶし瓦』とは釉薬を使わずに「燻す」蒸し焼き工程によって瓦の表面に銀色の炭素膜を形成させて強力な保護膜を得ています。
釉薬瓦と比べると経年で色ムラなどの変化が出るのですが、この色ムラや渋い風合いこそが燻瓦の魅力いぶし銀です。

カラーベスト屋根
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カラーベストはセメント、ケイ石、繊維素材などを配合して作られた化粧スレート屋根材です。
カラーベストやコロニアルとはクボタとパナソニックの住宅外装建材部門が統合して設立した会社ケイミューの商品名になり、厳密にいうと『住宅屋根用化粧スレート』という品種なのですが、化粧スレート=カラーベストと広く認知されているので、業者さんでもわざわざ「化粧スレート」と呼ばずお客様と話す時はカラーベストと説明している所が大半かと思われます。

※「ウォシュレット=温水洗浄便座」「アロンアルファ=瞬間接着剤」の様に商品名が広く認知され製品その物の代名詞として扱われる様になった例とお考え下さい。

特徴・メリット

豊富なデザインとカラーバリエーションが存在しとても軽いのが特徴で、厚みも低くフラットな仕上がりに魅せる事が可能です。
施工性(工事が簡単)が良い為、工期が短いなど結果費用を抑える事にもなり、
日本の新築住宅の多くに採用され圧倒的なシェアを誇ります。

カラーベストの歴史

アメリカにある世界最大のアスベスト(石綿)製造メーカーであるジョンズ・マンビル社が開発し販売を行いました
後にジョンズ・マンビル社は久保田鉄工(現:株式会社クボタ)と技術提携を行い、日本では1961年に『コロニアル』という商品名で発売を開始
材料にはセメントと石綿を混合し成形された物なのでアスベストを含んだ屋根材でした。
※2004年以降のカラーベストにはアスベストは含まれておりません。

豆知識

カラーベスト・コロニアルシリーズはケイミュー株式会社の商品名です。
昔の化粧スレートの製品素材には石綿(アスベスト)を含んだ物が多くあり、2004年以降は石綿を含んだ製品は販売されておりません。
昔に施工したアスベストを含む屋根材の解体・廃棄には通常の料金よりも高額な費用が必要となる場合があり注意が必要です。

ROOGA(ルーガ)屋根
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ルーガはKMEW(ケイミュー株式会社)の商品で新素材の軽い瓦として、
粘土瓦の持つ耐久性、美しさ、重厚感はそのままに、新たな素材によって軽量・耐風・耐水性能に優れた瓦として開発されました。
一般名称:樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦として表記されているように、カラーベスト(化粧スレート)と同じ様な素材で作られた陶器瓦によく似た製品になります。

特徴・メリット

陶器瓦の1/2以下とされる軽量性、樹脂混入繊維補強によって生まれる耐衝撃性など軽くて丈夫
『鉄球を落とす』『大人が木槌で叩く」といった実験においても割れる事は無く、空手の試割りがROOGAで行われたのなら恐らく皆割れずに困ってしまうかも…(TдT)
見た目は古来から続く瓦、でも中身は現代の素材技術を取り入れ作られたという屋根材です。

ROOGA(ルーガ)の歴史

ルーガを販売するケイミュー社自体は2010年にクボタ松下電工外装株式会社より社名変更によってケイミュー株式会社になりました。
その中でルーガは2017年で発売10周年を迎えました。
他の屋根材と比べると十数年と比較的歴史が浅く感じられるかと思いますが、前身のクボタ・松下共に屋根材では長年の実績を持つ大手で、ROOGA以外の屋根材でも長期における耐久実績など積み上げた研究成果もありますので日の浅さ自体はそれほど心配される必要は無いかと存じます。

豆知識

樹脂混入繊維補強がなぜ強いのか?
似たような素材でFRP(繊維強化プラスチック)と呼ばれ、車や船、飛行機などの内装・外装など他にも幅広く使われている物があります。
繊維の強さは皆様の身近で日本のお札(和紙)でも感じられますが、誤って洗濯機に入れても何度も折り曲げても破けない、粘り強さは複雑に重なり合う繊維だからこそ
その繊維質を樹脂と合わせる事で互いの短所をカバーし合う複合素材の強さです。

ガルバリウム屋根
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ガルバリウム鋼板はアルミニウムを主体に亜鉛や珪素を含んだ合金素材です。
防錆性を活かし屋根材だけで無く外壁などにも用いられ、モダンな建造物でよく見かけます。

特徴・メリット

質感や薄さ、他の屋根材では出せないスッキリとしたシャープ感は金属ならでは
防錆性・デザイン性も高く軽いので人気の屋根材です。

ガルバリウム歴史

1972年に米ベスレヘム・スチール社が開発したアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称です。

豆知識

トタン屋根というのをご存知でしょうか?トタンはガルバリウムより防錆性が劣るので最近では住宅に使わているのを見かけなくなりましたが、
価格が安価な為、今でも工場や小屋などで使われている姿を見かける事があります。
このトタンも実は亜鉛メッキを施された鋼板で、ガルバリウムの仲間の様な物です。

銅・ステンレス屋根
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銅板による屋根は神社や仏閣に多く使われており、一般住宅ではあまり見る機会は少ないかと思います。
またステンレス鋼による屋根も同じく両方共に金属の素材で他の屋根材よりも費用が高額になってしまう為、一般住宅で選択されるお客様はそれほど多くありません。
ですがこれは他の屋根材と比べ性能的に劣るという訳ではありません。

特徴・メリット

軽く他では出せない金属による耐久性とソリッドな高級感と風合い。
(銅板の場合)は緑青による銅特有の美しさ。

銅板屋根・ステンレス屋根の歴史

日本における銅板屋根材が用いられる様になったのは江戸時代だと言われ、
それ以前にも恐らくあったのでしょうが、高価な銅を加工する技術が江戸時代にて花咲いた事によってお城や神社、仏閣、武家屋敷など裕福な層に好まれました。
一方でステンレス鋼に関しては1930年に竣工したアメリカに立つクライスラー・ビルディングの外装に用いたのが歴史上初と言われています。

豆知識

塗装されていない皮膜の無い鉄などは風雨に晒されると大抵スグに酸化しサビなどが発生してしまいます。
銅は酸化することによって緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑がかったサビが発生するのですが、緑青が表面に被膜として内部の腐食を防ぐ働きを生じます。
自由の女神像や奈良の大仏などは緑色がかった色合いをしていますが、これらも緑青による影響です。
古代エジプトや古代ローマなど古くからブロンズ(銅)が用いられてきたのは、古代の人々も自然発生するサビによる皮膜の有用性に気付いていたのかもしれませんね。
そしてステンレスも同じく例え傷付いたとしても非常に薄い膜が瞬時に形成されるという強力な特性があり、
これは皆様もご存知の通りキッチンや水回りなどでステンレスが多く用いられているので体感されているかと思います。
stain(ステイン:汚れやシミという意味)とLess(レス:少なくや減らすという意味)が合わさったのがステインレス、ステンレスの語源です。

セメント瓦・コンクリート瓦
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セメント瓦とはセメントと砂などを混合して成形した物になります。

セメント瓦の特徴・メリット

昔のセメント瓦は塗料によって変わりますが見た目ではサラサラ・ざらざらとした物が多く、個人的な意見としてはやさしい感じの風合いが特徴的です。
費用はお安めなのですが重量が重いので構造が強固である必要があり、またそのままでは皮膜が無い為に防水性能に乏しく塗り替えなど定期的なメンテナンスが必要です。
最近では見た目も釉薬瓦と変わりなく重量も控えめな製品もあります。

セメント瓦の歴史

セメント瓦の文献が見つからなかったので詳細は省かせて頂きますが、日本では1900年代後半辺りから一時的に流行し数多くの戸建て住宅に普及しました。

豆知識

アスファルトシングル
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アスファルトシングルはガラス繊維の基材にアスファルトを浸透させて表面に石粒を接着してある屋根材です。

アスファルトシングルの特徴・メリット

見た目では粒状感のあるザラザラとしたシートです。フラットな感じや実際の薄さは金属屋根に匹敵し費用も控えめで、非常に軽く遮音性も高くカッターやハサミなどで切れる施工性の高さですが、反面強風に弱く湿気がこもりやすいというデメリットもあります。

アスファルトシングルの歴史

約一世紀前から使用されており、米国では大半の家屋がこのアスファルトシングルによる屋根材を用いています。

豆知識

アメリカの屋根と言われればコレ、という程に米国でのシェア率は高いです。
映画などでよく見かける風景、アメリカでは多くのご家庭にガレージみたいなDIY工房があってDIY(何かを自分で作ったり修繕したりすること)をされる方が多く、比較的簡単に補修できてしまうのが受け入れられた要因ではないかと思います。